MoguMoguYagisanのブログ

※記事は加筆修正する可能性があります。

裁判所の人員削減について

裁判所の懸念

共同親権の導入が審議されるにあたり、その役割が大きくなるであろうとされている裁判所はこのような懸念を表明している。

 

https://x.com/zenshihohombu/status/1752595033780518952?s=46&t=FlDsHsTP7fx7vaA1FV0wsg

 

全司法HP

http://www.zenshiho.net/shinbun/2024/2416.html

要綱案(案)では、親権の性質について「その子の利益のために行使しなければならない」といった形で明確化することが示されています。
 ところが、現在の家裁の現場では、親権が問題となる場面で、必ずしも子の利益のために行使されない可能性が予想される実態がうかがえます。

 

また、こうした制度が導入されるのであれば、施行当初からの事件増が考えられるとともに、いわば「事件が事件を生む」ような事態も懸念されることから、家庭裁判所の抜本的な人的・物的体制の整備が必要不可欠です。また、離婚をめぐる事件が今よりさらに複雑・困難になることが想定され、とりわけ、当事者対応は困難を極めることが予想されることから、現場の職員が困ることがないような運用の在り方を検討する必要があると考えます。

 

にも関わらず人員は削減へ

衆議院 法務委員会

2024年03月15日(金)

で、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案が可決された。

https://politylink.jp/clip/10839/

 

反対意見はあったものの多数決で可決。

 

 

参考

共同親権に関する部分など、リンク先の,書き起こしをメモ的に抜粋(画像)

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まとめ

このように、共同親権の審議が進む中、家庭裁判所の人員の削減が決まった。

しかし、共同親権を導入するならば,むしろ人員の確保,予算の拡充をするべきなのではないだろうか。

現状で、共同親権の施行への不信感は拭えないのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

協議離婚であれば、話し合いの上で離婚後共同親権ができるのか?

この記事では、協議離婚に関する資料をもとに、「協議離婚であれば話し合いの上で離婚後共同親権を実施できるのか?」について考察していこうと思います。

 

 

はじめに

協議離婚とは

日本における離婚の形は、大きく分けて2種類あります。

夫婦が話し合いで決定する協議離婚と、調停員や裁判所を介する離婚です。後者には、調停離婚、審判離婚、裁判離婚です。

協議離婚は、当人同士で話し合い離婚届を提出する離婚方法で、全体の約88% 。9割近い方離婚がこれにあたります。

 

残り約12%のうち8パーセントが調停員を介した調停離婚、その他裁判所を介した裁判離婚・審判離婚という方法もあります。

 

離婚後共同親権とは

共同親権とは、両親の双方が親権を持っている状態です。親権とは、子が成人するまでに必要なさまざまな事柄(財産の管理や教育、居住地の設定や監護等)に関する権利及び義務のこと。

両親が婚姻中は共同親権ですが、離婚すると両親のいずれか片方のみが親権を待ち、片方は親権を失う単独親権となります。

しかし、離婚後も両親双方共同親権を持つことへの法改正の動きがあります。

この離婚後共同親権についての法改正に関して、SNS上などで慎重論含むさまざまな意見がみられます。

 

 

協議離婚なら、夫婦での話し合いは可能なのか?

協議離婚=円満離婚である、という捉え方をした上で、協議離婚=円満離婚であれば、監護親・非監護親が話し合いの上共同親権ができる、といった意見があります。

一方で、それに対する反対意見も強くあります。

実際のところどうなのだろうかと疑問に思ったため、調べてみることにしました。

 

協議離婚に関する調査

今回こちらの資料を参考にしました。

協議離婚に関する実態についての調査研究業務報告書の公表について(法務省のサイト)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00244.html

 協議離婚に関する実態調査結果の概要

https://www.moj.go.jp/content/001346482.pdf

「協議離婚制度に関する調査研究業務」報告書

https://www.moj.go.jp/content/001346483.pdf

 

調査対象等について抜粋

調査対象:協議離婚を経験した30代及び40代の男女(合計1000名)

 

協議離婚後に監護親となった者及び監護親とならなかった者について各 500 名(合計 1000 名)からの回答を得た。

 

協議離婚後の監 護親・非監護親双方の実態を明らかにする観点から指標を選択した上で,クロス分析を行 っている。

とのことです。

 

協議離婚における離婚理由

今回、

Q11.あなたが離婚した原因(夫婦関係が破綻した原因)に近いものをすべて選んでください。(複数回答可)

に着目しました。

 

報告書より

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1番多い項目は「性格の不一致」で、全体で636、63.6%の人が選択しています。

 

ただしこの設問は複数回答であり、回答者数1,000名に対し回答の合計は2,374(全体)。おそらくほとんどの人が複数回していると思われます。

(なお、属性別の回答者数は、それぞれ500名に対し監護親1,418、非監護親860、男性939、女性1,435 )

 

ですので、多くの人が他の選択肢+「性格の不一致」を選んでいるのではないかと推測できます。

 

ちなみに概要の表はこのようになっています。

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監護親・非監護親、男女の区別がなくなっています。

報告書の方が細かいデータが見られるため、基本的に報告書の表の方を参照することにしました。

 

 

この中で、話し合いのできそうなケースの割合は?

これらの離婚理由の中で、話し合いができるケースがあるとすれば、たとえば「性格の不一致」のみが原因で離婚した場合などでしょうか。

しかし、性格の不一致と一口に言ってもさまざまな理由があるでしょうし、上記に書いたように他の理由と一緒に選ばれている可能性があります。ちょっとそこまではこの集計からはわかりません。

 

ですので、逆に話し合いが難しい思われるケースを考えてみます。

 

何かしらの暴力が認識されている割合

 

離婚理由に何かしらの暴力があるケースは、当人同士での話し合いが難しいものと思われます。

暴力があるケースでは、力や立場に優劣が生じていたり、口頭での話し合いが不可能な末に暴力に至るものと推察できるからです。

 

なので、そこを見ていくことにしました。

 

引き続き、報告書の方を見ていきます。

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何かしらの暴力を離婚理由にあげた人の割合です。

 

全体数で見ると、

身体的な暴力7.9%、

精神的な暴力21.0%、

経済的な暴力13.5%。

合計42.4%

 

監護親・非監護親、男女別では以下の通り。

 

監護親

身体的な暴力11.6%、

精神的な暴力26.8%、

経済的な暴力20.4%。

合計58.8%

 

非監護親

身体的な暴力4.2%、

精神的な暴力15.2%、

経済的な暴力6.6%。

合計26.0%

 

男性

身体的な暴力3.6%、

精神的な暴力12.2%、

経済的な暴力5.4%。

合計21.2%

 

女性

身体的な暴力12.2%、

精神的な暴力29.8%、

経済的な暴力21.6%。

合計63.6%

 

です。

 

 

ただし、複数回答のため重複して回答している場合もあるはずです。

 

ですので、少なくとも29.8%の人が離婚時に何かしらの暴力があったと回答したというところまでしかわかりません。(女性:精神的な暴力)

 

重複がどれほどかはわかりませんが、実数はおそらく29.8%よりは多くなるでしょう。

 

また、こちらのデータからは、「暴力があった」とするのが「加害者側か被害者側か」まではわかりません。

 

ちなみに他の設問の結果を見てもわかるのですが、

ほぼ監護親→女性、日監護親→男性のケースが多いと推測できます。数値がほぼ近いからです。現状で母親が親権を持つケースが多いこととも矛盾しません。

 

DVに対して、認識の相違がみられる

ちなみに、離婚理由に何らかの暴力があったとする人の割合に、監護親・非監護親、男女で差があるのが気になりました。

 

例えば精神的暴力があったと回答した割合は、1番多いところで

女性:29.8%ですが、それに対して男性は12.2%。

 

ちなみに監護親は26.8%、非監護親は15.2%でした。

 

 

その他の回答、例えば

「Q12.あなたと離婚した相手は、{HQ1 回答(協議離婚した年)}の離婚よりも前に、お互いの不仲などを原因とする別居をしましたか。」

という項目では、

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監護親・非監護親、男女別に見ても、ほぼ変わらないんです。

別居した人が40〜45%、別居してない人が55〜59%。

 

なんでかというと、この質問に関しては「意見の相違が発生しようがない」質問だからでしょう。

 

 

ところが、離婚理由のDVの質問になると、上記のような相違が出る。

 

 

つまり、女性(ほぼ監護親)は「DVがあった」と認識しているのに、男性(別居親)は「DVがなかった」と認識しているケースが多いのだということがわかりました。

 

 

虚偽DVでっちあげの可能性も指摘されるのかとしれません。しかし、特にお金も発生しない、こんな匿名のWEBアンケートでまで虚偽の回答するメリットが回答者には無いと思います。

なので信頼に足る結果なのかなと。

とすると、片一方が何らかの暴力を認識していた割合は先ほどの考察の通りで間違いないかと思います。

 

 

 

その他の考察

「1番主な離婚理由は何ですか」の項目がないため、何が主な離婚理由なのかはこのデータからは分かりません。

 

 

一見すると「性格の不一致」が多いように見えますが、人数と回答数の関係から他の選択肢と一緒に選ばれている可能性が高いと思います。

 

が、概要・報告書共に、この結果からどの選択肢とどの選択肢が一緒に選ばれたか?まではわかりませんでした。

 

結論

離婚時に話し合いができないケースは少なくとも29.8%です。

しかし、これはかなり少なく見積もっているので、実際はもっと多いはずです。

 

協議離婚率は、離婚全体の88%つまり、その中の29.8%は88%×29.8%で約26.2%

 

ちなみに、元々,協議離婚していない(調停員や裁判所を介した)元夫婦に関しては,言わずもがな当人同士での話し合いは無理かと思われます。この数は、100% - 88%で12%です。

 

つまり、離婚数全体に対して、

26.2%+12%で、少なくとも38.2%、話し合いは難しいと思われます。

 

少なめに見積もって40%弱。

実際にはもっと多いはずです。

 

これは、実際には過半数を超えるのではないかと思います。

 

決して無視していいような数ではありません。

 

もし、離婚後共同親権を原則として取り入れるのであれば、何らかの公的機関や第三者が仲介・介入し、ケース毎に適切な判断をする必要が生じるでしょう。

 

果たして今の日本にそんな余力があるのでしょうか。

不安に思わざるを得ません。

 

 

まとめ・感想

この調査が、共同親権の法改正へ向けたものなのだとしたら、

「離婚時点で冷静な話し合いができましたか」

「離婚後、相手と冷静な話し合いができると思いますか」

「離婚後子育てについて共同で行うことができるとは思いますか」


などの設問があっても良かったのでは無いかと思います。

少し残念に思いました。

 

推進派・反対派双方の意見を取り入れて、納得のいく調査が十分にされ、建設的な議論が進むことを望みます。

 

 

 

 

共同親権について思うこと

共同親権の理念はとても良いものだと思います。
子育てする親として、離婚後も協力し合って育てていけたら、子供にとっても良い影響を与えるでしょう。

 

しかし、現在の日本で導入するのは良くないと思っています。

 

理不尽な親子断絶・実子誘拐の被害者には救われて欲しいです。


しかし、立証の難しいDV加害者が悪用できる可能性があるままで施行するのは反対です。

 

さらなる調査や議論が深まっていくことを望んでいます。